耐雷トランスとは?避雷器との違い

落雷により発生した雷サージの影響で電子機器がショートしたとき、最も心配なのは保存されているデータや内部の電気回路が故障してないかと思います。

落雷によって電子機器が必要とする以上の過大な電流が流れると、機器がショートし故障や内部のデータが失われる要因となるため、事前に対策方法は知っておきたいところです。

本記事では、落雷があっても電子機器がショートしないように保護する耐雷トランスについて、特徴や保護性能を解説しています。

雷の影響から大切な電子機器やそこに保存されているデータを守りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

耐雷トランスとは

耐雷トランスとは、耐電圧が通常のものよりも大きいトランスと避雷器(SPD)を組み合わせたものを指します。

以下で耐震トランスの種類やSPDとの違い等について解説します。

耐雷トランスと避雷器(SPD)の違い

落雷発生時、非常に電圧が高い電流が発生し、これを雷サージと呼びます。

そして避雷器(SPD)とは文字通り、雷サージの影響を低減させるための機器のことです。

対して耐雷トランスとは、避雷器(SPD)を構造内部に組み込むことで、より耐雷電圧性能を高めた機器のことを指します。

 

耐雷トランスの種類

 

耐雷トランスには「絶縁形」と「接地分離形」の2種類が存在します。

・絶縁形

→侵入してきた雷サージを避雷器と絶縁トランスで低減するデザイン

・接地分離形

→侵入してきた雷サージを2段階に分けて低減、高絶縁化した上で処理するデザイン

 

 

耐雷トランスの特徴

耐震トランスの特徴として、以下の3つが挙げられます。

・雷サージの威力を1/100〜1/1000程度にまで軽減する

・電流耐量上の制限がない

・雷サージへの耐電圧が30kV以上

上記のように、雷サージに対して高い耐電圧性能を誇っており、接続している被保護機器の保護性能が非常に高いです。

耐雷トランスとSPDのメリット・デメリット

ここでは、同じく雷サージからの保護装置として用いられる耐雷トランスとSPDのそれぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

耐雷トランスのメリット
耐雷トランスはSPDとトランスを組み合わせた保護機器であるため、メリットが大きいです。

保護性能が抜群
耐雷トランスはSPD単体よりも高い雷保護性能を発揮します。
SPDの雷サージ保護方式は等電位化方式とも呼ばれ、侵入してきたサージを保護素子で大地に逃がし、電圧を制限することで機器を守る仕組みです。
被保護機器が耐えられる1500V程度の電圧にまで制限します。
一方で、耐雷トランスの雷保護方式は絶縁方式と呼ばれ、SPDでサージをアースへ逃がすとともに、トランスでサージを絶縁化することで機器を守ります。
さらに、シールドを用いてサージを100分の1~1万分の1まで抑えるため、耐雷効果が高いです。
また、耐雷トランスの耐電圧は10kV~30kVで、強い雷サージに耐えます。

電圧変換が可能
本来トランスという言葉は変圧器を指すため、耐雷トランスも電圧の変換が可能です。
そのため、雷サージによる機器への被害を抑えつつ、電圧変換もしたいケースでは、非常に有効的です。

耐雷トランスのデメリット
高性能な耐雷トランスにも、注意すべきデメリットが存在します。

接地工事に手間がかかる
耐雷トランスでは、一次側と二次側の接地を別にしなくてはなりません。
また、トランスが絶縁破壊するのを防止するために、一次側の接地抵抗を数十Ω以下にし、二次側の設備を完全に絶縁にする必要があります。
このように接地工事に手間がかかる点が、耐雷トランスが抱えるデメリットの一つです。

設置場所が限られる
耐雷トランスは寸法が数百〜数千mmを超えるほど大きく、重量も小さくて20kgほどです。
電源の電流容量が増えるほど、サイズが大きくなります。
また、一次側と二次側の接地極間は数mの間隔が必要なため、設置場所が限定的です。

コストが高い
耐雷トランスは、1台あたり10万円以上が一般的で高価な機器です。
接地工事費用を含めると、導入コストが高くなるでしょう。

次に、SPDのメリットを見ていきましょう。

小型かつ軽量
SPDは寸法が60~100mm程度で非常に小さく、重量も0.5kg程度におさまります。
小型のブレーカー程度で、被保護機器と同じ盤内に設置可能です。
耐雷トランスよりも設置しやすい点が魅力的でしょう。

コストが低い
SPDは1台1~2万円程度で購入できます。
また、SPDと被保護機器の配線の接地は共通であるため、通常の接地工事で問題ありません。
盤内の接地端子への配線工事のみでおさまるため、接地工事費も安く済ませられます。

SPDのデメリット
では反対に、SPDのデメリットはあるのでしょうか。

耐雷トランスと比較して保護性能が劣る
SPDの放電耐量は5~10kAです。 一般的な電気機器の保護であれば、SPDの使用で雷サージの保護効果は十分でしょう。
ただし、雷サージに極度に弱い機器や重要性が高いケースでは、耐雷トランスの導入がおすすめです。
なぜなら、SPDは耐雷トランスに比べて保護性能が劣るためです。

耐雷トランスは、SPDに加えトランスによる絶縁方式をとるため、高い雷サージ保護効果を見込めます。
SPDと耐雷トランスのどちらを使うか迷った際は、被保護機器の特徴や設置場所の環境、コストや保護性能のバランスをとって、総合的に考えましょう。

落雷による影響を抑えてくれる耐震トランス

以上、本記事では耐雷トランスとは何か、そしてその特徴について解説しました。

落雷時に発生する雷サージへの対応方法として重要な役割を担うことをご理解いただけたと思います。

耐雷トランスは避雷器よりも高い保護性能を誇るため、大事なデータを保存している機器などに導入することをおすすめします。

 

落雷対策・避雷針工事でお悩みの方は避雷針工事.netへご相談ください。

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