誘導雷の影響と被害

「雷が鳴ったら梅雨が明ける」なんて言ったのは、もう昔の話。
近年では梅雨の間はもちろん、梅雨が明けた後も雷を伴う夕立や台風などが多く見られます。

それに伴い、年々増えているのが落雷による被害です。
今回は、家電などのトラブルを引き起こす「誘導雷」について解説します。

直接雷と誘導雷

「落雷」は、大きく分けて「直接雷」と「誘導雷」の2つに分けられます。

 

直接雷とは
一般的に「雷が落ちた」「雷に打たれた」などと表現される落雷を「直接雷」と読んでいます。
対象が樹木や建物であった場合は100%破損あるいは火事、人であった場合は死亡率70%以上になると言われています。

 

誘導雷とは
「誘導雷」とは、近隣に雷が落ちることで電線や通信線などに発生する大きな電流のことを指します。
その影響で、直接雷に打たれていないにも関わらず、自宅にある家電やパソコンなどが破損することがあるのです。

誘導雷の被害

あまりニュースにはなりませんが、誘導雷の被害は多く発生しています。
例えば一般家庭であれば「テレビが消えた」「電話やネット回線が使えない」などの報告が多く、近くの電柱に雷が落ちた場合などはそのエリア一帯に影響が出ることも少なくありません。

 

企業の場合、被害はさらに深刻です。
今やどの企業もパソコンやタブレットを導入していますが、通信線に誘導雷が発生すれば機器の破損はもちろん、データや顧客リストまでも消失してしまいます。
「ただの雷」と気軽に捉えず、しっかりと対策を行なうことが大切です。

誘導雷の侵入経路

誘導雷は建物周辺のあらゆる場所から侵入し、建物内の電気設備や電気機器にダメージを与える恐れがあります。 ここでは主に2種類の侵入経路をみていきましょう。

 

電源線・通信線・アンテナ
電力線に落雷した場合、電源コンセントやLANケーブルから誘導雷サージが侵入する可能性があります。
コンセントに直接繋がっているエアコンや給湯器などの家電製品は、故障するリスクが高いです。
また同様に、電話回線やケーブルテレビ・アンテナなどからも誘導雷サージの侵入が考えられます。
電源線や通信線は街中に張り巡らされています。そのためどこかで直撃雷が発生すると、周辺の電源線・通信線には静電的結合や電磁的結合により、雷電圧が発生しやすくなるのです。
高圧配電線に発生した雷電圧は、低圧配電線に移動し建物内に侵入します。

 

アース(接地)
建物の避雷針に直撃雷が落ちると、電流は大地へと流れ、大地の電位が上昇します。
異なる接地間に電位差が生じ、低圧側に雷サージとして雷電圧が侵入するというメカニズムです。
建物内の配線は接地を通じ、ループを形成しています。
直撃雷の影響により建物に雷電流が侵入すると、フロア間のインピーダンスで電位差が生じ、電磁誘導によりループの開放端機器に誘導雷電圧が発生します。

誘導雷の対策方法

現状、誘導雷の侵入を完全に防ぐことは困難とされています。 ただし、被害を最小限に抑えるための対策方法はいくつか存在します。

 

SPD(避雷器)の設置
SPDとは、サージ保護デバイス(Surge Protective Device)の略称で、雷サージを安全に放出し、電気機器が過電圧・過電流により被害を受けることを防ぐ機器です。
避雷器とも呼ばれます。 よく耳にする避雷針は、建物全体の被害を防ぐもので、SPDとは異なります。
SPDは内蔵する非線形素子により、機器に加わる一時的な過電圧を制限し、雷電流を分流させる仕組みです。
通常は高抵抗の絶縁体ですが、過電圧を察知するとすぐに低抵抗になり、電流をアースへと流すことで機器を守ります。
電源線や通信線に取り付けるだけで、接続されているパソコンやテレビなどを安全に保護します。
SPDは、電源用・通信用・一般民需用など種類が豊富です。
延長コードのように、コンセントタイプで簡単に使えるSPDも存在するため、用途や設置箇所にあった製品を用いましょう。

 

耐雷トランスの設置
耐雷トランスとは、変圧器とも呼ばれる「トランス」にSPDを組み合わせた機器です。
電源線に侵入してきた過電圧をSPDにより制限し、トランス部分で電圧を絶縁し、電気機器を守ります。
雷サージに耐える電圧(耐電圧)が30kVと非常に高く、シールドにより雷サージを遮蔽するため、SPD単体よりも保護性能が高いです。
ただし、高性能である分、コストやサイズも大きくなります。
保護効果と設置場所を考慮し、SPDと耐雷トランスを効果的に使い分けることが重要です。

 

電気機器を守る行動を素早くとる
落雷しなくても、遠くでゴロゴロと雷の音が聞こえたり、光を感じたりしたら、誘導雷の可能性を考えて行動しましょう。
雷による電気機器の故障・破損の原因は、電源コンセントから侵入する雷サージであるケースが多いです。
そのため、雷の気配を感じたら、電気機器や家電の電源を切り、コンセントを抜きましょう。
ただし、すでに雷が近い時には感電の恐れもあるため、無理に電源に触れないようにしてください。
また、パソコンは雷サージによりデータを損失する事例も見られるため、日頃から外付けのハードディスクやUSBにバックアップをとっておくのがおすすめです。

雷が近くで鳴ったら誘導雷の可能性も考えることが大切

いかがでしたでしょうか。
この記事を読んでいただくことで、誘導雷についてご理解いただけたと思います。
「雷が落ちる」という現象には2種類あり、周辺に雷が落ちただけで影響を受ける可能性があることを覚えておきましょう。

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